消費税のために買い急ぐのは愚の骨頂

「消費税が上がると負担が増える。家を買うなら早いほうがいい」
庶民にとっては、人生最大の高額な買い物。「ちょっとの時間差で何十万円、何百万円
も税金を多くとられるのはかなわない」という気になっても当然だ。だが、そこにはいく
つかの誤解があるようだ。
かりに、3LDK五OOO万円の新築マンションを購入するとした場合、あなたは頭の
中でこんな計算をしていないだろうか。
「ぇ!と、いまは消費税五%だから、五OOO万円×五%H二五O万円だけど、二O一四
年の四月からは五OOO万円×人%H四OO万円。ゲッ、一五O万円も余計に払わなけれ
ばならないわけか。たまんないな。どうせ買うつもりでいたんだから急がなきゃ」
これは完全な早合点。不動産取引では、土地代は消費税の課税対象外だからである。そ
のマンションが土地代二OOO万円、建物代三OOO万円なら、増税後の消費税負担増は
建物代の三%、九O万円にすぎない。九O万円でも大きい金額だが、一方で住宅ロ1ン減税という恩恵もある。
二O二二年末で期限切れになるはずだった住宅ロlン減税が延長された結果、ローン残
高四OOO万円を上限として、一%相当額が十年間にわたって控除される。つまり最大四
O万円×十年間H最大四OO万円の税金をまけてもらえるのだ。これを考慮すれば、増税
後の九O万円の負担増も思ったほどではないことに気づくはずだ。
もう一つ、あまり知られていないことがある。中古マンションを、仲介業者を通じて個
人の持ち主か5購入する場合、消費税はかか5芯い。なぜかというと、個人のマンション
所有者は消費税の課税業者ではないからだ。したがって、この場合は仲介業者への手数料
だけ払えばすむことになる。仲介手数料は「売買代金×六%+一一一万円」と決まっている。
売り手と買い手の両者で負担すれば増税の影響は三万円くらいのもの。
つまり、消費税が上がるからと、あわてて購入する必然性はあまりないのだ。にもかか
わらず、私がいまを「マイホーム購入の好機」というのはなぜか。長い目で見たとき、と
くに首都圏での有利なマイホーム購入は、「ここ一、二年がラストチャンスかな」と思う
からだ。とくに都心部、湾岸エリアは東京オリンピックを控えて値上がりする。
日銀が、大胆な金融緩和を行なってデフレ脱却への道筋をつけた。これを後ろ盾に、アベノミクスは「期待」から「現実」へと変わっていくc それがここ一、二年に起きてくる
日本経済の変化だろう。その際、起きてくるのは、ゆるやかなインフレ基調である。
よきよ〈せっ
雇用が増え、給料も少しずつ上がるようになる。多少の好余曲折はあっても、基調は
そういう方向だ。当然、いまのゼロ金利も終わり、金利も上昇していく。住宅ロlン金利
も上がってくる。ならば、金利が安いいま、ローンを組んでマイホームを買うのが有利な
ことはいうまでもない。
消費税負担を軽くするためにマイホーム購入を決断するのは、賢いようでいささか本末
転倒の感が否めない。だが、史上最低といわれる金利水準を目いっぱい利用して、長期
口lンを組める好機はここ数年くらいが限度ではないか。
安倍政権になって以来、住宅業界がにわかに活況を呈してきたが、近い将来の金利上昇
に備えての「いま」というなら、納得のいく購入行動だと思う。ただし、どんな場合も
「お金になる家」という課題を忘れてはいけない。