三、四十代の購入には出回戦略が欠かせない

前項で「家賃を払うなら買ったほ、つがいい」と、中古マンションを手に入れた二十代の
男性の例を挙げたが、彼の動機は「賃貸か、持ち家か」という誰もが一度は突き当たるマ
イホームに関する選択の結果だ。
だが、買うと決めたら早く行動を起こしたほうが断然有利で、二十代でマイホーム購入
を上手にやれば、先へ行って大きくトクをする。だが、三十代、四十代になると、かなり
綿密芯出口戦略が必要になってくる。そのわけをシミュレーションで見てみよう。
二十八歳、年収四五O万円の既婚サラリーマン氏が、将来、子供が二人生まれると想定
して、物件価格二八五O万円のマイホームを、金利二・五%の全期間固定、三十五年ロー
ン(年間返済額一一二万円)で買ったとする。
頭金二五O万円、諸費用は一四O万円と想定。このほかに税金やマンションの管理費、
修繕積立金、固定資産税、実際の修繕費などがかかる。それらすべてを含めると、五十年間つまり七十八歳(男性の平均寿命)までにかかるマイホーム全費用は、六四OO万円
になる計算だ。これに対して、ずっと賃貸で暮らした場合の住宅全費用はいくらになるか。二十八歳か
ら十年間は家賃月額一O万円のマンション、十年目から子供(二人)の成長に合わせて月
一五万円と住み替え、子供が成長したあと、また家賃月額一二万円のマンシヨンに移ったと想定すると、マイホーム全費用は七九OO万円に達する。
七九OO万円ー六四OO万円H 一五OO万円。つまり、二十八歳でマイホームを持つと、
生涯賃貸より一五OO万円トクなのだ。定年年齢(六十五歳)くらいまでは、両者の差は
あまり出ない。賃貸も持ち家もかかる費用はほぼ同じである。だが、リタイア年齢を境に
急速に差が出る。
賃貸だと、定年後も依然として家賃を払い続けなければならないが、買ったほうは定年
直前六十三歳でロlンを完済、二年間の返済額分二二四万円をそっくり貯金に回して、
悠々年金生活に入っていけるのだ。
では三十代、かりに三十四歳で買った場合はどうか。先の二十代と大きな違いのない想定で、賃貸を続けた場合を比較すると、五十年間の総費用は賃貸が八OOO万円、購入が
七五OO万円で、その差は五OO万円と二十代のときの三分の一になってしまう。
四十代に入ってからの購入になると、さらに悲惨。五十年間で見ると、ずっと賃貸でい
るのと、持ち家とではほとんど差がなくなる。四十代で家を購入して賃貸よりもトクする
ためには、優良物件を入手して途中でよい条件で売却して住み替えるなど、綿密な出口戦
略を立てなくてはならない。
土地の値段が右肩上がりで上がった時代は、土地であれ家であれ、不動産を所有するだ
けで二疋の資産形成ができたが、基本的に土地価格の上昇が見込めない現在では、二十代
か三十代までがマイホーム獲得作戦を実行するラストチャンス。それ以上の世代は出口戦
略を持たないと、家を持つことが、かえって定年後のお荷物になる。
いまは、そういう時代だ。持ち家率が低下している背景には、こういう現実がある。こ
のことを肝に銘じておく必要があるだろう。ただし、持ち家チャンスを逸した人には、
「投資用マンション」で収入を得るという手も残されている。

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