「生涯賃貸で暮らす」という選択肢もあ

日本人は横並び意識が強いから、かつての団塊世代などは、みんな必死でマイホームを
買ったものだ。「どうしてマイホームを買うのですか」と聞かれたら、もっともらしい理
由をさまざまに挙げただろうが、本音は「みんなが買うから」だったのではなかったか。
いまは、どうか。明5かに持ち家率は下がっている。団塊世代が八0・二%に対し、四
十代の持ち家率は六二・七%、三十代は三九・O%、二十代に至ってはわずか七・五%で
ある(二O一二年『国土交通白書』より)。
最新のアンケートによれば、マイホーム購入の最大の動機は「子供のため」。これは東
日本大震災以来の変化だ。また、近年、購入が増えている単身女性の最大の購入動機は
「一人暮らしの老後に備えて」である。
一方、マイホームを所有する高齢夫婦が、郊外の戸建てを売って、都心の賃貸マンショ
ンに移り住むケlスも増えている。老後を慎ましく郊外で暮5し、子供に家を残すより、
家をお金に換えて老後資金にゆとりを持たせ、残りの人生を楽しもうという発想だ。私も、そのほうがいいと思う。戸建てといっても、築四十年以上経てば、不動産として
評価できるのは土地だけである。子供に家を残すとなれば、改修しなければならない。そ
れにはけつこうなお金がかかる。固定資産税だってパカにならない。こんな親を間近に見ているせいか、最近は、若いサラリーマンの中には自分たちの老後
を見越して、「それなら生涯賃貸でもいいじゃないか」と考える人聞が出てきた。
そこで、賃貸と持ち家の損得を比較してみよう。
まずは、持ち家派の考え方。
「お金を払っているのに自分のものにならないなんてパカらしい。ローンで買えば、先々
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資産になるし、老後の住まいの心配もない。賃貸だと高齢になると貸してもらえなくなる。
ついすみか
家賃が払えるかも心配だ。ローンが終われば、タダで住める持ち家こそが終の棲家だ」
たしかに、高齢になると借りにくいし、年金暮らしでは家賃の心配があるかもしれない。
だが、マンションであれ戸建てであれ、持ち家派は一つ大きな誤解をしている。それは
「ロlンを払い終えればタダで住める」という考え方だ。
現実は、そうはいかない。マンションの場合、ローンを払い終えても管理費や修繕積立
金は払い続けなければならない。固定資産税もかかってくる。都心の地価の高いところだと、固定資産税はかなり高い。リフォームも必要になる。この費用がパカにならないのだ。
では、賃貸派はどうか。生涯に支払う家賃総額は、マイホーム所有者がロlンや税金、
修繕などに要した総額にほぼ匹敵する。支払う金額は持ち家派も賃貸派も同じくらいなの
だ。そのときの計算の仕方によって、どちらが有利というようにもっていけるものである。
賃貸派は何十年も延々と家賃を払い続けて「何も残らない」かもしれないが、次のような
メリットがある。
①家のために大きな借金を抱えない
②リフォームや大規模改修、建て替えとは無縁
③固定資産税がいらない。相続税の心配もない
④住み替えが自由である
賃貸派は家を持つ代わりに、自由で身軽な生き方を手に入れられる。
こう考えると、「生涯、賃貸で暮らす」という生き方も悪くない。結局、賃貸か持ち家
かは、その人の生き方の問題ということだ。

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