都区内は築浅中古の物件を探すこと

東京都区内でマンションを買うとき、新築ではなく、築浅の中古物件がいちばんのお買
い得だといわれている。
築浅とは築十年以内のこと。いま東京都区内では、築五年以内の平均価格が新築の九割、
築六年から十年が約八割といわれている。新築五OOO万円の物件でも、築六年から十年
のものを狙えば、四OOO万円で入手できる。
日本人は「新築志向」が強く、約八割の人が新築を求めるという。そのために割高物件
を買わされている。都区内立地なら、この先も資産価値は大きく減じることはないから、
新築でなくてもお買い得である。
新築志向の人には不満かもしれないが、十年以内の築浅なら、リフォームすれば新築に
遜色ないものとなる。新築五000万円の物件を、築十年以内に二割安で買って、一割の
五OO万円をリフォームに回しても、割安効果は損なわれない。
「都区内の好立地に、築浅マンションなんか出回らない」と、はじめからあきらめている人がいるかもしれないが、これが意外に出回っている。
なぜ、築年数の浅いマンションが市場に豊富に出てくるのか。実は、一九九五年頃から
首都圏だけでも年間八万戸を超えるマンションの大量供給が始まり、そのストックがまだ相当あるからなのだ。
単にストックが多いだけではない。バブル崩壊後、地価が下がり始めた九0年代半ば頃
から、マンション立地の都心回帰が進んだ。築十年以内の築浅マンションは、東京都区部
だけで約四割に達している。
「お金になる家」を目指すな5、立地を優先した築浅中古を狙うほうが、割高な新築より
はるかにいい。
気になるのは耐震性だが、一九九五年の阪神・淡路大震災以来、耐震性は大幅に向上し
ている。また専有面積も、いまの新築マンションは七01八Oぱの3LDKが中心だが、
築浅中古には3LDKで九01一002mを超えるものも少なくない。
49
マイホーム購入で大切なのは、資産価値を失わないこと。自分が住む家でも同様だ。資
産価値を失わない第一の要因は立地である。この点で都内なら、それも人気の地域なら立
地ではまず申し分ない。どこへも一時間くらいで移動できる利便性もある。現在のマンション購入の流れは、二OOO年頃から始まった、湾岸エリアの超高層タ
じゅうニ
ワ1マンションや都内の再開発エリア中心の、住戸一000戸を超える高層マンションに
移っている。しかし私は、湾岸エリアはおすすめしない。たしかに、都心のオフィス街に
は近いし、アクセスも充実してきでいるが、東京オリンピックがあるので、それまで値上
がりする一方だからだ。
いままでは山手線の内側など、はじめから無理だとあきらめていたと思うが、新築は無
理でも中古に切り替えれば、お買得物件がそこここに存在する。
都心の築浅中古の最大の魅力は、何といっても価格の安定度だろう。
立地条件のいい築浅十年以内の中古マンションを探して、何年か住んでからリフォーム
をして売りに出す。うまくいけば買った価格、いやそれ以上で売ることも可能になる。ま
して住んでいるときにより人気の場所になって地価が上昇すれば、願ったりかなったりで
ある。家 査定をするならお任せください。

サラリーマンがメドとする購入価格帯

マイホームが欲しいとき、いくらくらいの家を買うかは思案のしどころだ。上を見れば
キリがないが、収入の範囲内で、できるだけランクの高い家を買いたいというのが人情と
いうものだろう。
だが、サラリーマンには自ずと限度がある。その限度とは、どのくらいなのかを次に考
えてみよう。
まずは一般論から。現在、サラリーマンがロlンを組める限度額は、年収の七倍といわ
れている。借り入れの返済負担比率からはじくとそうなる。年収五OO万円なら、三五O
O万円のロlンが組めるわけだ。だが、これは上限だから、当然リスクが伴う。三十年、
三十五年の長丁場を、リスクに備えながら完済までこぎつけるには、年収の五倍程度に借
り入れを留めておいたほうがいい。
45
そうなると借入可能額は、二五OO万円になるが、初めてのマイホーム購入計画は年収
の五倍を起点に考えるのが妥当寸たろう。不動産データバンク「東京カンテイ」の調査によれば、二O二一年の分譲マンション価格(全国平均)は新築で、
の六・五三倍である。この数字の基礎になるサラリーマンの平均年収は四一七万円。
ローンは年収の七倍まで組めるから、その六・五三倍の家ならかろうじて買えることに
なるが、こういう買い方はかなり冒険である。家を持つとなると、税金や諸費用、引っ越
し代、調度品や家電の買い替えなどもある。資金の余裕が必要だ。
では、どうするか。新築をやめて中古にすればいい。先の東京カンテイの調査では、中
古物件(築十年)は首都圏でも年収の四・五六倍で買える。年収四OO万円から五OO万
円のサラリーマン諸氏には、ぜひこうした買い方をおすすめしたい。
これなら、そんなに無理をしなくても、大きなリスクを回避してロlンを完済していけ
るだろう。もし途中で資金的余裕があれば、なるべく早い機会に繰り上げ返済をしてロー
ン期間の短縮に努める。なぜかというと、十年住んだら売りに出すのだ。
築二十年なら、まだかなりよい条件で売れる。売却目標は十年住んで購入価格で売れる
かどうかということ。そうすればロlン残債を払って、一定金額が手元に残る。その金額
を頭金にして、新たな中古マンションを買い、そのマンションも十年で売却、最終的に終
一般サラリーマンの年収
の棲家の戸建てを購入する。昔は背伸びをして年収限度額いっぱいの借り入れをし、歯を食いしばって払い終えれば、
その家は資産価値が生じたが、いまはロlン完済したときに地価が値上がりしていないの
で「購入価格の二分のこあるいは「三分のこが常識。マイホーム購入はいまや「一生
に一度の買い物」ではない。自分のライフサイクルに合わせて出口を変えていく戦略が必
要なのである。
マイホーム、その「タイミング」の決断!
それには、最初のマイホーム購入が肝心。ここで無理をしてしまうと、ローン返済に
汲々として、そこから抜けられなくなる。年収の範囲内で余裕を持って返済できれば、買
い替えのチャンスが生まれる。だから、「お金になる家」しか買ってはいけないのだ。
チェックポイントは、定年まで元気に働けるかどうか。教育費がかさむのはいつ頃か。
収入支出の現状とこれからの見通し。頭金を多くするのが理想。購入価格の二割以上の頭
金を用意できれば、ローン金利が優遇される。あとは月々の負担を軽くする。資金に余裕
があれば繰り上げ返済をするーーなどである。

年収三OO万円で新築マンションを買った独身女性

いまどき、年収一ニOO万円の人がマイホームを持つのはきつい。まして女性だったら、
なおさら||誰もがそう考える。だが、現実は少し違う。若い独身女性が自前でマンショ
ンを持つのは、そんなにむすかしいことでは芯いのだ。一例を挙げてみよう。
彼女はアパート住まいだった。三十代のうちに自分のマンションを所有することが夢
だったが、「いまのお給料ではとても無理」と半ばあきらめていた。
あるとき、新聞の不動産広告のチラシを眺めていて、新築マンションのロlン月返済額
が、いま払っている家賃(六万七000円)と同額であることを知った。
「ェlッ、こんなに安いの」
家賃を払っているのがパカらしく思えた彼女は、さっそくそのマンションのモデルルー
ムを見学に行き、低年収の独身女性でもロlンが組めること、月々の返済額がいまの自分
の家賃並みで可能であることを確認した。これは、どういう計算なのか。
年収の二01三O%を、その人のロIン返済能力と見るのが一般的だ。年収三OO万円の人の年間の返済能力限度額は九O万円、月に直すと七万五OOO円になる。かりに金利
を二%とすると、彼女は二二六O万円まで借りられるのである。
さっそく、彼女は頭金三OO万円を入れ、二四OO万円の新築マンションを、予定通り
家賃並みのロlン返済額で手に入れた。以前は、年収の低い独身女性がロlンを組むのは
きっかったが、しっかりした勤務先の正規社員であれば、最近は女性でも容易に借りられ
る。女性の持ち家購入には、明5かに追い風が吹いているのだ。
三十、四十代の独身女性の持ち家率は、約四割というデlタもある。「住みたい街」と
して女性に人気の高い都内の目黒区、世田谷区では、女性の独身比率が、全国平均よりか
なり高い。自前で家を持てば、「このまま一生独身でもかまわないわ」と女性も強気にな
れるのだろう。マイホームをロlンを組んで買い、さらに犬や猫などのペットを買うと一
生独身で過ごすようになるという傾向もある。
といって、彼女たちは、何も生涯独身を最初から目指しているわけではない。中には結
婚する強い意志を持ちながら、自前のマンションを購入する女性もいる。そういう彼女た
ちの心づもりはこうだ。
「結婚したら、子供ができるまではここに住んで貯金に励み、もっと大きなマンションに引っ越す。そのとき、このマンションは売るなり貸すなりすればいい」
「結婚して子供ができるまではここに住んで、もし離婚ということになったら、夫に出て
行ってもらう。そうすれば、子供がいても再出発が始めやすい」
「結婚して別のところに住むようになったら、ここを賃貸にする。高く貸せれば収益が出
て私のお小遣いになる。万が一、赤字になっても私の稼ぎから払い続ける。ローンが終わ
れば私の個人資産になるのだから」
「結婚して別のところに住むようになったら、機会を見て売りに出す。売却のメドはロー
ン残債を払って一定額のお金が手元に残ること。それを老後やイザというときに備えて
パッチリへそくっておく」
いまの女性は、たくましい。ただ、彼女たちがこれらの目論見を実現するには、
件がある。賃貸して収益が上げられ、売却もロlン残債を払って手元にお金が残るだけの
物件価値を持ったマンションであること。こんな物件が「お金になる」のだ。

三、四十代の購入には出回戦略が欠かせない

前項で「家賃を払うなら買ったほ、つがいい」と、中古マンションを手に入れた二十代の
男性の例を挙げたが、彼の動機は「賃貸か、持ち家か」という誰もが一度は突き当たるマ
イホームに関する選択の結果だ。
だが、買うと決めたら早く行動を起こしたほうが断然有利で、二十代でマイホーム購入
を上手にやれば、先へ行って大きくトクをする。だが、三十代、四十代になると、かなり
綿密芯出口戦略が必要になってくる。そのわけをシミュレーションで見てみよう。
二十八歳、年収四五O万円の既婚サラリーマン氏が、将来、子供が二人生まれると想定
して、物件価格二八五O万円のマイホームを、金利二・五%の全期間固定、三十五年ロー
ン(年間返済額一一二万円)で買ったとする。
頭金二五O万円、諸費用は一四O万円と想定。このほかに税金やマンションの管理費、
修繕積立金、固定資産税、実際の修繕費などがかかる。それらすべてを含めると、五十年間つまり七十八歳(男性の平均寿命)までにかかるマイホーム全費用は、六四OO万円
になる計算だ。これに対して、ずっと賃貸で暮らした場合の住宅全費用はいくらになるか。二十八歳か
ら十年間は家賃月額一O万円のマンション、十年目から子供(二人)の成長に合わせて月
一五万円と住み替え、子供が成長したあと、また家賃月額一二万円のマンシヨンに移ったと想定すると、マイホーム全費用は七九OO万円に達する。
七九OO万円ー六四OO万円H 一五OO万円。つまり、二十八歳でマイホームを持つと、
生涯賃貸より一五OO万円トクなのだ。定年年齢(六十五歳)くらいまでは、両者の差は
あまり出ない。賃貸も持ち家もかかる費用はほぼ同じである。だが、リタイア年齢を境に
急速に差が出る。
賃貸だと、定年後も依然として家賃を払い続けなければならないが、買ったほうは定年
直前六十三歳でロlンを完済、二年間の返済額分二二四万円をそっくり貯金に回して、
悠々年金生活に入っていけるのだ。
では三十代、かりに三十四歳で買った場合はどうか。先の二十代と大きな違いのない想定で、賃貸を続けた場合を比較すると、五十年間の総費用は賃貸が八OOO万円、購入が
七五OO万円で、その差は五OO万円と二十代のときの三分の一になってしまう。
四十代に入ってからの購入になると、さらに悲惨。五十年間で見ると、ずっと賃貸でい
るのと、持ち家とではほとんど差がなくなる。四十代で家を購入して賃貸よりもトクする
ためには、優良物件を入手して途中でよい条件で売却して住み替えるなど、綿密な出口戦
略を立てなくてはならない。
土地の値段が右肩上がりで上がった時代は、土地であれ家であれ、不動産を所有するだ
けで二疋の資産形成ができたが、基本的に土地価格の上昇が見込めない現在では、二十代
か三十代までがマイホーム獲得作戦を実行するラストチャンス。それ以上の世代は出口戦
略を持たないと、家を持つことが、かえって定年後のお荷物になる。
いまは、そういう時代だ。持ち家率が低下している背景には、こういう現実がある。こ
のことを肝に銘じておく必要があるだろう。ただし、持ち家チャンスを逸した人には、
「投資用マンション」で収入を得るという手も残されている。

独身二十代のうちに家を買っておけ

昔は結婚してもしばらくは賃貸に住み、子供ができるとか、給料が増える三十代、四十
代になってからマイホームを買ったものだ。だが、いまは逆。マイホームを持つのは早げ
れば早いほどいい。独身二十代に買っておくとどうなるか。興味深い実例があるので、以
下にそれを紹介してみよう。
社会人になってまだ三年目、二十五歳のサラリーマンがいる。彼は親元から通勤してい
たが、一念発起して独立することにした。さっそく家賃五万六OOO円のワンル1ムマン
ションを見つけた。だが、いよいよ契約というとき、ふと思うことがあった。
「ここに結婚まで住むとして、いま恋人がいるわけじゃないから、まあ十年くらいは住む
んだろうな。払う家賃はどのくらいになるんだろうか」
家賃月額五万六000円×十二カ月H六七万二000円(年間)。十年間で六七二万円。
これに諸費用を加えて七二一万円という数字をはじき出した。「七OO万超か。けつこうかかるな。待てよ。七OO万円出すなら、中古マンションが買
えるんじゃないか」
彼は、自分が借りようとしていた地域をネットで調べてみると、中古のワンルlムなら
七OO万円で買えることがわかった。
「そうか。家賃と同額の月返済額で十年ロIンが組めれば、借りるよりは買ったほうが絶
対に得だな」
彼はファイナンシヤルプランナーに相談してみた。すると、この条件を満たすプランは、
次の場合なら可能であることがわかった。
年利二%の固定型で四九O万円の固定ロIンを組むと、月々の返済額は五万四五OO円
になる。だが、そのためには物件価格七OO万円の約三割に当たる一二O万円の頭金が必
要だ。さらに購入のための諸費用が約五O万円。
いま彼に二六O万円のキャッシュがあれば、この計画は実行できる。だが就職三年目、
親元通いの彼だが貯金はゼロ。「やっぱりダメか。こんなことなら貯金しておくべきだっ
た」。ある晩、彼は笑い話のつもりで、父親にそのことを話した。黙って話を聴き終わっ
た父親は、意外なことを言い出した。「頭金は俺が出してやる」
こうして彼は急転直下、七OO万円の中古マンションを手に入れた。借りた場合の家賃
とほぼ同額で、十年後はロlンを払い終えて自分のものになる。彼がその時点で結婚し、
住み替えるとしたら、そのマンションを「売却する」「賃貸にする」という二つの選択肢
がある。売却の場合、買った値段の三五%減、四五O万円で売れるとすると、父親に借り
た頭金分を返しても、一九O万円は手元に残る。また、売却しないで管理費込みの四万円
で賃貸に出せば、毎月約三万円の家賃収入が得られる。
年間三六万円。十年間、そのお金を積み立てていけば、大規模改修にも対応できるだろ
う。彼が定年になる頃は、リニュlアルされたマンションになっているはず。そうなれば
賃貸は可能だから、彼はそこから得られる家賃収入をまるまる老後資金の足しにすること
も可能だ。
以上は、住宅ジャーナリストの榊淳司氏が新聞掲載した記事を元にアレンジしたものだ。
物件選定さえ誤らなければ、いまは若いほどマイホームを買ったほうがトクをする。これ
が、いわば「お金になる家」ということである。

「生涯賃貸で暮らす」という選択肢もあ

日本人は横並び意識が強いから、かつての団塊世代などは、みんな必死でマイホームを
買ったものだ。「どうしてマイホームを買うのですか」と聞かれたら、もっともらしい理
由をさまざまに挙げただろうが、本音は「みんなが買うから」だったのではなかったか。
いまは、どうか。明5かに持ち家率は下がっている。団塊世代が八0・二%に対し、四
十代の持ち家率は六二・七%、三十代は三九・O%、二十代に至ってはわずか七・五%で
ある(二O一二年『国土交通白書』より)。
最新のアンケートによれば、マイホーム購入の最大の動機は「子供のため」。これは東
日本大震災以来の変化だ。また、近年、購入が増えている単身女性の最大の購入動機は
「一人暮らしの老後に備えて」である。
一方、マイホームを所有する高齢夫婦が、郊外の戸建てを売って、都心の賃貸マンショ
ンに移り住むケlスも増えている。老後を慎ましく郊外で暮5し、子供に家を残すより、
家をお金に換えて老後資金にゆとりを持たせ、残りの人生を楽しもうという発想だ。私も、そのほうがいいと思う。戸建てといっても、築四十年以上経てば、不動産として
評価できるのは土地だけである。子供に家を残すとなれば、改修しなければならない。そ
れにはけつこうなお金がかかる。固定資産税だってパカにならない。こんな親を間近に見ているせいか、最近は、若いサラリーマンの中には自分たちの老後
を見越して、「それなら生涯賃貸でもいいじゃないか」と考える人聞が出てきた。
そこで、賃貸と持ち家の損得を比較してみよう。
まずは、持ち家派の考え方。
「お金を払っているのに自分のものにならないなんてパカらしい。ローンで買えば、先々
33
資産になるし、老後の住まいの心配もない。賃貸だと高齢になると貸してもらえなくなる。
ついすみか
家賃が払えるかも心配だ。ローンが終われば、タダで住める持ち家こそが終の棲家だ」
たしかに、高齢になると借りにくいし、年金暮らしでは家賃の心配があるかもしれない。
だが、マンションであれ戸建てであれ、持ち家派は一つ大きな誤解をしている。それは
「ロlンを払い終えればタダで住める」という考え方だ。
現実は、そうはいかない。マンションの場合、ローンを払い終えても管理費や修繕積立
金は払い続けなければならない。固定資産税もかかってくる。都心の地価の高いところだと、固定資産税はかなり高い。リフォームも必要になる。この費用がパカにならないのだ。
では、賃貸派はどうか。生涯に支払う家賃総額は、マイホーム所有者がロlンや税金、
修繕などに要した総額にほぼ匹敵する。支払う金額は持ち家派も賃貸派も同じくらいなの
だ。そのときの計算の仕方によって、どちらが有利というようにもっていけるものである。
賃貸派は何十年も延々と家賃を払い続けて「何も残らない」かもしれないが、次のような
メリットがある。
①家のために大きな借金を抱えない
②リフォームや大規模改修、建て替えとは無縁
③固定資産税がいらない。相続税の心配もない
④住み替えが自由である
賃貸派は家を持つ代わりに、自由で身軽な生き方を手に入れられる。
こう考えると、「生涯、賃貸で暮らす」という生き方も悪くない。結局、賃貸か持ち家
かは、その人の生き方の問題ということだ。

一戸建て住宅という選択肢もある

いまは圧倒的にマンションの人気が高いが、一方、戸建てにはそれなりの魅力がある。
土地があるから庭で緑も観賞できる。首都圏郊外には戸建てもたくさんあり、人口減で、
今後は空き家も増えていくだろう。そんな中から、資産価値を維持しやすいエリアで戸建
てが見つけられれば、「お金になる家」を手に入れられる。
試みに、東京・文京区千駄木をネットで調べてみたら、中古だが3DKの戸建てが三O
OO万円台であった。土地四od、建物七odとやや狭いが、高台にあり、周辺は高級住
宅地として知られる場所だ。こういう場所なら、資産価値は滅多なことでは下がらない。
いわゆる山手線内側でも、渋谷などから近くを丹念に探せば、戸建ての優良物件はある。
戸建ては建物の価値がなくなっても、土地があるのが強い。この先、土地価格の大幅芯上
昇は期待できないものの、都内の一等地の土地価格は底堅いからだ。
戸建て住宅の立地は、居住性に重点を置くことが多いので、マンションに比べ利便性で
は劣ることが多い。たとえば、若者に人気の吉祥寺であっても、徒歩十分の場所にはマン年後は、おそらく毎朝、通勤電車に乗って会社へ通うという形だけではなくなるだろう。
そうなったとき、交通アクセスを軸とした住宅の利便性という概念は大きく変わる。これ
からの家選ぴは、そういう変化も加味しなければならない。
戸建て志向は、子育て夫婦に多い。新婚時代は利便性の高い賃貸マンションに住んで、
夫婦共稼ぎで貯金に励み、子供ができる頃を見計らって、より広いマンションか戸建てに
移るというパターンである。かつてはマイホームの買い替えで、最終的には戸建てに住むというのが理想のパターン
だったが、同じような傾向はこれからも見られるだろう。以前は、通勤に時間がかかるの
が難点だったが、いまは自宅で仕事ができるケlスも少なくない。また、定年後は戸建て
で庭付きを楽しむという生活も可能である。
現実的には、従来発想で利便性を重視したマンションに住む人が多いが、子育て重視な
ら利便性を少し犠牲にしても、教育に適したエリアの戸建てという選択肢も「あり」だろ
う。子育てに要する年月は、長くて二十数年だろう。その期聞が過ぎたら、その家を売る
31
なり貸すなりして、好きな地域に移って第二の人生を過ごせばいい。

マンションか、戸建てかーーどこで決める?

夫婦の会話。
「景気が回復して、給料も上がりそうだ。そろそろ家を買うか」
「そうね。で、どんな家にするの?私はマンションがいいな」
「オレは二戸建てがいい。小さくても庭が欲しいんだよ」
マンションと戸建て||家を購入するとき、よく迷うのがこの問題である。昔は戸建て
派が多かったが、いまはマンション派が優勢だ。将来のことを考えたら、どちらが本当に
有利なのか。当人の好みは置くとして、一般的な側面から、マンションと戸建ての損得に
ついて考えてみよう。
まず、マンションのメリットは次の点である。
①好立地に多く利便性が高い
②セキュリティlに優れている
③合理的な生活ができる

一戸建てのメリット

①静かな環境が得られる
②家の改造が容易にできる
③隣人に気兼ねなく暮らせる
一方、マンションのデメリットは、①壁一つ隔てただけの狭い空間に、多くの世帯が暮
らす集合住宅ゆえ、隣人とのトラブルが発生しやすい、②戸建てと違って土地の区分所有
は最初から決まっている。管理は管理人、管理組合に属さねばならず、管理費や修繕積立
金などを徴収される、③自分勝手に住戸を改造できないーーなどの不便がある。
また、戸建てのデメリットは、①おおむね二階建てになるので、段差のある生活が高齢
者に向かなくなる、②近隣環境によっては孤立し寂しい生活になりやすい、③立地によっ
ては利便性に欠け、買い物などで不便な生活を強いられるーーなどである。
ザックリいえば、マンション生活は共生型、戸建ては孤立型である。では、これから十
年後を見据えたとき、どちらがトクかといえば、大地震で都心が壊滅的な打撃を受けるな
ど大きな事情変更がない限り、生活の利便性を得やすいマンションのほうが有利といえる
だろ、っ。なぜかといえば、土地の値上がりが見込める時代は、明らかに戸建てのほうが資産価値
は生じやすかったが、それが見込めないとなると、戸建ては都心よりも郊外になりやすい
ので、賃貸や売却に不利なのだ。
つまり、お金になりにくいのである。また、首都圏の戸建住宅には、かつて団塊世代が
建てた物件が数多くあり、それらの老朽化が進み、・空き家や空き地が増えている。それだ
け新築も求めやすいともいえるが、買っても数十年後に同じ運命をたどることになりかね
ない。
ただ、子育てを考えると一戸建てのほうがいいかもしれない。また、サラリーマンも通
勤に不都合がないなら、二戸建てでもいいだろう。庭いじりが好きな人も一戸建てになる。
車が好きな人も一戸建てのほうが何かと便利だ。さらに将来、子供と二世代世帯を||と
考えるなら戸建て以外に考えられない。
いまは持ち家率が減少し、都会に住む人は、戸建住宅よりマンションを望む人が圧倒的
に多い。だが戸建住宅が衰亡していくとは思えない。まだ先だとは思うが、サラリーマン
に在宅勤務が増えるようになれば、再び郊外の戸建住宅が復活するかもしれない。

首都圏地価は二極化、バブル再来はない

マンションの売れ行きが好調で、二O一三年七月には、首都圏の月間販売戸数が五一二O
六戸と前年比三一%増の六年ぶりの高水準を記録した。
消費税増税の駆け込み需要、長期金利の上昇懸念がその背景にあるが、不動産市場の基
礎となる地価は、今後どうなるのだろうか。
国土交通省が発表した二O二二年第2四半期の地価動向(全国の高度利用地一五Oカ所
の地価)は、上昇が九九地区(前回八O地区)、横ばいは四一地区(同五一地区)、下落一
O地区(同一九地区)と、上昇地区が全体の六六%(前回五三%)に達した。
これを見る限り、景気回復とともに今後「地価は上昇する」という期待を抱かせるが、
一つはっきりしていることがある。地価の動向は、人口と連動するということ。したがっ
て人口減となるこれからは、全般的に地価は上昇することはないといえるが、首都圏や都
心部に人口が集中する傾向が出てくる。
景気がいく5回復しても、バブルのときのように、右肩上がりで全体的に地価が上昇するよう拡ことはない。マイホーム購入では、このことをしっかり念頭に置くべきだ。それ
によって選び方が違ってくる。「お金になる家」の重要性がよくわかるはずだ。
わが国の人口は二OO六年をピlクに減少し、年によって下げ止まることもあるが、全
体としては、減少の一途をたどることは間違いない。少なくとも増加に転じる要素は現時
点では見つかっていない。五十年後には、日本の人口は八OOO万人という試算もある。
したがって、地価も三大都市圏を除く地方都市は、いずれも下落か横ばいは避けられな
いといわれている。つまり都市圏集中型になっていくのだ。
では三大都市圏ではどうか。
関西地区は東京への人口流入が激しく、他の地方都市ほどではないにしても、上昇の目
はほとんどない。
中京圏にしてもしかり。結局、今後、地価が上がるとしたら、首都圏以外は考えられな
いのだ。では、首都圏はどうなるか。首都圏でも千葉のように下落の激しい地域があり、
今後は上昇する地域と下落する地域の差がくっきりと描かれることになりそうだ。
実際、それは直近の路線価にすでにあらわれている。二O二二年の東京都路線価(東京
国税局)によれば、全体としては五年連続の値下がりだが、上昇地点が増加し、下落地点のほうは減少という下げ止まりの傾向を見せ始めている。
ここで注目したいのは、どこが上昇して、どこが下落しているかだ。今回の路線価で上
昇したのは、浅草、足立、麹町、目黒、西新井、立川、麻布、豊島の各地域。逆に下がっ
たのは、新宿、四谷、本郷、蒲田、大森、八王子、小石川、葛飾、江東東、江東西、江戸
川南などである(いずれも都内税務署管内)。
このように、地方か5の人口流入で上昇が期待される首都圏でも、上がるところは上が
り、下がるところは下がるというこ極化現象は避け5れない。マンション価格も地価と同
じように二極化の道をたどると思われる。
ということは、築十年で売却のとき、購入価格より高く売れるマンションもあれば、購
入価格の半値でしか売れないマンションもあるということ。同じ首都圏でも、真逆の現象
が起きてくる。
25
こういうことは、かつてなかった。そこで大切になってくるのが、十年後、二十年後の
地価の見通しだ。投資用であれ、マイホーム購入であれ、現時点でマンションを購入する
人は、十年後、二十年後のその物件の資産価値を考えておく必要がある。

マイホームの購入には空前の追い風!

ヒット商品番付というのがある。そこに「家」がランクアップされたことをご存じだろ
うか。『日経MJ』が発表するこO一三年上期のヒット商品番付、その西の横綱に「住宅
ロlン」が選ばれた。ちなみに東の横綱は「高級時計・宝飾品」である。住宅購入には、
いま三方向から大変な追い風が吹いている。それを簡単に解説しておこう。
第一の追い風は、消費税増税の「経過措置」といわれるものである。二O一四年四月一
日以降に引き渡される住宅には八%、二O一五年十月一日以降に引き渡される住宅につい
ては一O%、それぞれ新しい消費税率が適用される見通しである。
ただし、それぞれ新しい税率が適用される時点の六カ月以前に契約が成立している場合
は、新税率ではなく旧税率が適用される。この場合、土地代はもちろん非課税、課税対象
になるのは建物部分だけだ。
第二の追い風は、「住宅ロlン減税」といわれるものだ。ローンを組んで住宅を建てた
場合、一定の条件を満たせば、ロlン残高の一%相当額を、十年間にわたって毎年所得税から控除できる。
マイホーム、その「タイミングJの決断!
ローン残高は、二O二二年末までは二OOO万円が限度だったが、二O一四年四月以降
は、ローン残高が四OOO万円まで引き上げられる。かりにロlン残高が二OOO万円と
すれば、一%相当分の二O万円が所得税から控除され、それが十年間続くから、総額二O
O万円の控除ということになる。この制度は、二O一七年内に入居した住宅に適用される。
二O一四年四月からはロlン残高の限度が四OOO万円まで引き上げられるから、この措
置による最大控除額は十年間で四OO万円になる。
第三の追い風は、住宅ロlン利用者を対象にした「現金給付」である。年収制限(五O
O万円以下予定)を設けたうえで、最大三O万円(消費税八%時点)の現金を給付する。
また現金で住宅を買う場合も、五十歳以上などの条件をつけたうえで現金を給付する。
これ以上は、細かく説明するとややこしくなるので、詳しくは調べていただきたいが、
要するに、ここ数年の聞にマイホームを購入する人に対して、増税負担を軽くしようとい
う試みだ。
たとえば、年収五OO万円の人が、四OOO万円(土地代一五OO万円)のマイホーム
を購入し、五OO万円の頭金を用意して三五OO万円のロlンを組んだ場合、消費税が予定通り三%引き上げられて八%になっても、ローン減税と現金給付を合わせれば、増税分
の負担はほぼ相殺される勘定になる。消費税に目を奪われて買い急ぐよりも、その後に供
給過剰になる物件をじっくり選んだほうがトクというわけだ。
アベノミクスはインフレターゲットを設けて始めただけに、その実現に躍起だが、いま
となっては民主党政権が行なった消費税増税が重い十字架になっている。どう考えても、
景気回復の足を引っ張る大きな要因だからだ。
したがって、政府は当面、景気が上向く政策は行なっても、冷え込むような政策はやら
ない。住宅に対する優遇税制も、そのあらわれだ。「庶民でもマイホームが楽に持てる」
ようになれば、住宅業界が潤って景気の上昇につながるからだ。
また、デフレ下ではモノよりもお金が価値を持つから、金持ちは好きにやれでも、現金
に乏しい庶民には手も足も出なかった。だが、デフレを脱却すれば、モノの価値が上がり
始める。いままではマイホームを買っても、値上がりはまず期待できなかったが、これか
らは立地がよければマイホームの資産価値はゆるやかであれ上昇する。久しぶりに庶民に
も財産を築くチャンスが訪れたーーともいえるのではないか。